その他

遅摘みワインとは

   

完熟したブドウを収穫せずにそのまま木につけたままにしておき、その生乾きのブドウから造った甘口のワインを遅摘みワインという。乾燥によって干しブドウの状態になった果実には糖分が凝縮されているため、非常に甘口のワインが造られる。

同じく干しブドウを使ったワインにストローワイン(麦わらワイン)があり、これは樹上で乾燥させるのではなく収穫したブドウを藁の上に並べて乾燥させたものである。貴腐ワインや遅摘みワインと同様に糖度の高いワインとなる。

Raisin Wine

遅摘みワインは、フランスではガロンヌ河、ドルドーニュ河の上流にあたるベルジュラック地方の一部の地区で造られている。干しブドウの状態になってから摘み取るために、傾斜のある斜面で陽光の恩恵を受ける畑が理想的である。
この地域のAOCソーシニャック地区では地形と晩秋の午後の陽光を活かして甘口のモワルー、ごく甘口のリコルーと呼ばれる白ワインを産出している。

Monbazillac Château le Barradis 1997

ブドウはセミヨンソーヴィニヨン・ブランミュスカデル、シュナン・ブランに限られ、何回かにわけて手で収穫される。味わいは芳醇で優雅、花と果実のアロマが溶け合う濃厚なものである。ソーシニャック地区では貴腐ワインも造られており、ごく甘口のタイプのものでは5-10年以上の熟成を要するものもある。
隣接するAOCモンバジャック地区でも同じような地形を活かして貴腐ワインが造られており、畑の位置によって遅摘みワインも造られている。

ドイツワインは造られるブドウの糖度によって呼び名が異なるが、遅摘みにあたるのはシュペトレーゼである。アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼなどは更に高い糖度の原料で造られるが、貴腐菌による高糖度のことが多く、これらは貴腐香を感じることがある。

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