ヴァル・ド・ロワール地方は、フランスワインの名産地だ。フランス中央から大西洋へと流れる大河、ロワール川のまわりにぶどう畑が広がる。

古城とぶどう畑の連なる美しい景色が、世界遺産として登録されている。各生産地の気候を生かし、個性のある繊細な味わいのワインばかりだ。

そんなロワール地方の最も大西洋から遠い産地がサントル・ニヴェルネだ。中央フランス地区とも呼ばれている。

この地域は、大陸性気候の影響を受け、冬は寒く夏は暑い。日照量があるためぶどうは力強く熟する。プイィ・フュメやサンセールといったフランスを代表する白ワインの産地を擁している。

サンセール、プイィ・フュメともにソーヴィニヨン・ブランを使用した辛口の白ワインだ。その他の産地も白ワインが有名。貝殻を含む粘土質の石灰岩からなる「白い大地」と呼ばれる独特の土壌が、端正でフレッシュなぶどうを生み出す。

【サントル・ニヴェルネ地区の主な生産地】

<プイィ・フュメ>
プイィ・フュメはロワール地方を代表する白ワインの1つ。プイィ=シュル=ロワールと周辺の村で生産されている。
独特の土壌によりスモークのようなアロマを携えたソーヴィニヨン・ブランができるため、「フュメ=燻製」という名前がついている。

<カンシー>
カンシーはロワール川本流から離れたシェール川付近の産地。石灰質と砂利質の混じる独特な土壌により、個性あるアロマがある辛口の白ワインを生み出している。
使用される品種はソーヴィニヨン・ブランで、80年を超える古樹も多いため複雑な味わいを醸し出している。

<メヌトゥー・サロン>
メヌトゥー・サロンはサンセールの西隣に位置し、平坦な土地の林の中に畑が点在する。
赤・ロゼ・白が作られており、ソーヴィニヨン・ブランを使用した白はサンセールによく似ており、価格は下がるため人気がある。ピノ・ノワールを使用した赤とロゼは、軽やかさの中に骨格がしっかりとある。

<サンセール>
サンセールは上質な白ワインで有名なAOC。大陸性気候の影響を受け、夏と冬の寒暖差が激しく、冬の霜害も多い。ソーヴィニヨン・ブランが有名で、「白い大地」と呼ばれる土壌は牡蠣などの貝殻を含む粘土質石灰岩だ。
ミネラル豊富で溌剌としたワインは世界で人気がある。

<ルイィ>
ルイィはロワール地方のAOC。カンシーの西側に位置し、サンセールからもそんなに遠くはない。石灰質の土壌で白ワイン用のぶどうをメインに栽培している。
ソーヴィニヨン・ブランを使用した辛口白ワインが多く、フレッシュでさわやかな早飲みタイプに仕上がる。赤とロゼはピノ・グリとピノ・ノワールを組み合わせて造られる